「松本さんからの仕事はやりやすいですよ」と、ある楽器製作家の方に言われたことがあります。
どうしてか聞いてみたところ、「目的がはっきりしていて、それを技術者に伝える言い方をよく心得てらっしゃると言えばいいのかな」と答えが返ってきました。
なるほど、と納得すると同時に普段意識していることをしっかり受け止めてもらえてるんだなと思いました。
一方でSNSなどで、希望がうまく伝わらずに頼んでいない作業をされたなどの話も目にすることがあります。
この記事ではそのような行き違いによる悲しい事例が減ることも願いつつ、私が普段心がけていることについて書いてみようと思います。
「○○してください」ではなく「何とかなりませんか」と聞く。
楽器や機材のトラブルの解決方法はひとつではなくいくつかあることが比較的多いと言えます。
その方法は自分で決めるよりも、信頼のおけるリペアマンの方に手段の選定から作業までお願いしてしまった方がいい結果になると私は思います。
いつも新品交換がベストとは限らない。
不具合の原因がどこかのパーツの調子が良くなかった場合。
交換しなければならないのか、調整次第で温存ができるのか。
パーツ交換すればコンディションこそ新品に戻りますが、実際使いやすいのは少し馴染んだパーツの方だったりして必ずしも新品交換がベストであるとは限りません。
新品にも初期不良というリスクもありますし、昔のものと品質が変わっているかもしれません。
消耗パーツも含めて温存で済んだ方が安全かと思います。
(もちろん、攻めの気持ちで交換を選ぶのもアリです!!新製品を試すタイミングとしてもいいですし。)
例1:フレットの場合
「フレットがだいぶすり減ってきたので、またしっかり頂点が出たフレットの気持ちよさを取り戻したい」
→フレット交換(リフレット)になるか、すり合わせ(ファイリング)で済むのか・・・迷いますよね。
費用も倍くらい違いますし、指板へのダメージも最小限にしたいところです。
この場合、すり合わせでは調整し切れないのにそうしてしまうのは結局打ち換えることになって二度手間ですし、
すり合わせで済むのに交換にしてしまうのは過剰整備であると言えます。
例2:ピックアップの場合
もっと低音が出るようにしたい、そんな音が出るピックアップはないかな・・・
あっ、スペック表で周波数特性のグラフで低音の所が持ち上がってる製品を見つけたので
これを取り寄せて、リペアショップで取り付けてもらおう!!
→そもそも原因は本当にピックアップなのか。
要望に対してどんな手段を選ぶかはリペアマンが決めること。
ではどのように選ぶ作業を判断すればいいのでしょうか。
これはもう、プロであるリペアマンの方にお願いしてしまうのがベストであると私は考えます。
その方がより力も発揮してくれるだろうとの期待もあります。
自己解釈が通り一遍の作業から来る悲劇を生む。
先ほどのPU交換の件についても、交換後に思い通りの音にならなかったからと言ってリペアマンに非があるとは必ずしも言えないわけです。
「顧客の要望はPU交換であったので、思い通りにならなかったとしてもリペアマンは言われた作業をこなしたまで」という話になってしまうのではないでしょうか。
何か「もっとこうなってほしい」という望みが芽生えた時に自己解釈で解決手段を決めてしまうのがこういった悲劇の元かなと思います。
私にも多々覚えがあるのですが・・・。
「できますよ」と言ってくれる人にお願いし、自分も望みを言語化する能力を磨く。
私は「今の状態をこんな風に感じてるんですけど、それを○○な状態にしたい。できますか?」と聞いて「できます」と答えてくれる方にだけお願いしています。
手段はお任せして、なおかつ見積もりも事前に出してもらって結果と費用のバランスが取れるようにすることも忘れません。
なので作業を受けるリペアマンにもプレイヤー以上の造詣とノウハウが求められると思います。
自分自身としても要望を言語化するスキルはいつも高めるよう意識しています。
まだ見ぬ名工との出会い
他にも、現代はネットやSNSなどの普及も手伝って知られざる名工の方々や若手ながら高い技術を持った方に繋がることができる時代になってきました。
まだかかりつけのリペアマンに出会っていないあなたにも、よき出会いがありますように。
今回のブログはここまでです。
次回もお楽しみに。
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