弦譜堂の代表・松本祐一(@YuichiMatsumoto)です。
弦譜堂サイトには私のプロフィールコーナーがあります。
略歴として大まかな出来事を載せているのですが、その中のエピソードも少しずつこのブログで掘り下げて行ってみようと思います。
今回は
ライブ・スタジオワークなど一流ミュージシャンの現場で、譜面には何が求められるのか・大切なことは何かを深く学ぶ機会に多々恵まれる。
弊社スタッフから「これって具体的にどんなことでしたか?」と質問されたことがありましたので、エピソードをひとつご紹介させて頂きたいと思います。
ローディー見習いの現場で出会ったすごい譜面。
上記のプロフィールページに書いてあります通り、私は2005年から2007年までの間、師匠であるギタリスト梶原順さんのローディー(専属アシスタント)を務めさせて頂いていました。
普通に生活していてはまずできないであろう経験をたくさんさせていただき、今なお自分の中で大きな財産として残っています。師匠と周りの方々には本当に感謝してもしきれません。
見習い初日の衝撃。
2005年3月のことです。
楽器店に張り出されていたローディー募集の張り紙を見て応募し、先代ローディーによる面接を通過した私はいよいよ仕事の引継ぎに入ることになりました。
多忙を極める師匠のスケジュールの中、引継ぎに許された猶予はわずかです。
いきなり実際の現場に同行し、場の空気を感じながらどんなことをしているのかを直接見ることになりました。
大げさに書きましたが要は見学です(笑)
その現場とは、数日後に迫った大きなライブのリハーサルでした。
~・~・~・~・~
リハーサルは滞りなく進んでいきました。
休憩時間になり、私は譜面台の上に乗せられていた楽譜をこっそりのぞき込みました。
「自由に見ていい」とのお言葉を頂いたので手に取ってじっくり見始めたところ、
ある曲の楽譜で、私はそれまで持っていた「楽譜とはこう書くもの」という認識を根底からひっくり返される衝撃を受けたのでした。
プロの写譜屋さんによる手書きのリードシート。
その譜面はいわゆる「リードシード」と呼ばれる形でした。
バンドで演奏されたことがある方なら、どなたも一度は書いたり読んだりしたことがあるはずです。
曲のセクションをイントロ・A・B・サビ、などのように分けて、コードネームを書いて、キメがあれば書いて、繰り返すところにはリピートマークや1カッコ・2カッコを振って…といった、あの形です。
そして今でこそ楽譜はPCやMacによる浄書が一般的ですが、そのリードシートは「写譜屋さん」と呼ばれる手書き楽譜のプロが書いた譜面でした。
私が写譜屋さんの書いた譜面を直接見たのはこの時が初めてです。
そのリードシートが、レベルが違いすぎると一目でわかるものでした。
例えば、
- 小節線や音符の隙間は均等ではなく、広すぎず狭すぎない間隔が場に応じて、なおかつ一貫性をもって設定されている。
- コードネームなどの文字は読み間違いの起こりようがないほどはっきり・しっかりと書いてある。
- リピートマークは視線の動きやそれに伴う労力を最小限にとどめる位置関係に配置されている。
- とにかく字や音符のうまさが職人技で見てるだけで気持ちがいい。
などなど。
「読もう、と頑張らなくても自動的に頭の中に曲の情報が入ってくる」ように書かれた、まさに一流のプロの仕事と呼ぶにふさわしい譜面でした。
複数の種類の「写譜ペン」が使い分けられていて見た目も美しく、まさに職人芸です。
この時期で私はすでに3年ほど採譜のお仕事はさせていただいてはいましたが、これを機に正確さだけでなくレイアウト面にもこだわりを持って楽譜を作っていこうと決心した出来事でした。
今でも悔やまれるのはこの時にこの曲の楽譜を手掛けられた写譜屋さんのお名前を伺っていなかったことです・・・。
今回のお話はこれでおしまいです。
最後に、この曲とライブはどんなものであったか?動画をご紹介したいと思います。
このライブの内容はもちろんのこと、ステージ上で使われている譜面に衝撃を受けたのだと、今でも思い出します。
ステージ上手(向かって右側)の、オレンジのシャツのギタリストが師匠です。
余談ですが、私はこのライブで一気に角松敏生さんのファンになったのでした。仕事なのに…
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