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「楽譜を読めるようになる方法 その2」|TAB譜作成専門店・弦譜堂の楽譜コラム第五回

こんにちは。

弦譜堂(げんぷどう)」代表の松本祐一と申します(プロフィール)。

採譜・TAB譜作成の定番サイトとして10年以上のあいだ多くのお客様にご愛顧いただいております。

弦譜堂・楽譜コラム第五回は「楽譜を読めるようになる方法 その2」です。

「楽譜が読める」第一歩は頭の中で音符と指板の位置が繋がること。そのための方法をご紹介します。

前回の「楽譜を読めるようになる方法 その1」ではバッハのインベンションを1ページ開いてひたすら音を出していくという練習方法をご紹介しましたが、「そもそもそれは楽譜が読めてからの話では?」と矛盾するようにお感じになられた方もいらっしゃるかもしれません。

楽譜が読めないという話を掘り下げていくと、ドレミやリズムを「読むだけ」なら出来ても、「楽器で音を出していくのが難しい」というのが実のところだと思います。

そうです、「読むだけ」なら出来るはずなのです。いくら時間を掛けてもいいのならば。
極端な話ですが、1つの音のポジションを割り出すのに10分掛けていいなら出来ますよね?

例えばA#という音程は指板上でどことどこにあるのか、またあるフレットをランダムに押さえたとしてそこは何という音程が出るのか、今はその情報を引き出すのに時間がかかりすぎる段階なのです。

でも大丈夫です。

このコラムでご紹介する訓練方法できっと楽譜を読めるようになっていくでしょう。

早速練習に入って行きたいと思いますがその前に、、、

ピッキングのアップダウンや、左手の運指はどうしますか?

今回の訓練に臨む時の右手ですが、まずは全部ダウンピッキングをお勧めします。

音色が揃いやすいことが理由です。指で弾かれるのでしたらどの指でもいいので1本指奏法ですね。

左手も(トリル以外は)極端な話1本の指だけで追っていく方法でも構いません。前回も書きましたがこの場合はまだ合理的な運指などはあえて考えません。

あくまで今は読譜の訓練、すなわち頭の中で音と指板上の位置を少しでも早くリンクさせることが第一ですのでそれ以外の要素を持ち込まないほうが気が散らなくて済むと思います。

まずは1小節だけ読んでみましょう。

それでは始めていきましょう。

新しいことを学ぶのにまず必要なのは「細分化」です。それは取っ掛かりを探す作業とも言えます。

これから一緒に楽譜の細分化の過程を追っていきましょう。

以下の譜例はインベンション1番の最初の1小節です。シャープもフラットも付いていません。

どうでしょうか。これもわからない?大丈夫です。以下に読み方をお手伝いしていきます。

ご存知のように、ギターやベースには同じ音程でも複数のポジションがあります(そのあたりの正確な採譜・解析が弊社のセールスポイントでもあります!!)。

最初はまずどのポジションを選ぶのか、というところでつまづいてしまうことと思います。

さらにどの指で押さえるのかという問題も組み合わせると選択肢がかなりの数にのぼります。
このように選択肢が多すぎることがギター・ベースプレイヤーにとって読譜を難しくしている理由でもあるのです。

指板上における音程の位置関係を把握するための第一歩。

リズムと音程のうち、リズムはある程度読める方が多いので今回は音程に絞ってご説明しますね。(リズムについても今後解説していきます。)

まずは1つの音程に対して指板上でどれだけの選択肢があるか考えてみましょう。

一緒にギターを持って音を出してみてください。

最初の「ド(C)」の音は指板上ではこの2ヶ所が候補になります。

[このダイヤグラムでは上が1弦、下が6弦になります。]

2ヶ所しかないのでまだ迷いが少なくて済むとも言えますが(E音は同じ音程が6本すべての弦に存在します。)、どちらかに選ばなければなりませんね。

そこでほとんどの方は一度はなぞってみたことがあるであろう、ギターでのドレミファソラシドの位置と照らしあわせてみましょう。

今回はこの一般的なローポジションでやってみます。(複数のポジションが考えられる場合の選び方も後ほどご説明します。今は一番難易度が低いポジションを選びました。)

このポジション内での「ド(C)」音の位置はここだけです。

1つ目の「ド(C)」音もここから始めます。(音符の色が変わっている音です)

  ↓

お気づきの方も多いと思いますが、今回このコラムでは○弦○フレットという表現を使っていません。

タブ譜で書いた方が早いじゃないか」という声がありそうですが、、、

それは英語をカタカナに直しながら覚えているようなものです。

そういう変換をしているとなかなか五線譜で読めるようになりません。

(もちろんタブ譜にはメリットも多々あります。タブ譜の起源とメリット・デメリットについても今後当コラムで取り上げる予定です。)

2つ目の「レ(D)」の音

  ↓

3つ目の「ミ(E)」の音

  ↓

4つ目の「ファ(F)」の音

  ↓

5つ目の「レ(D)」の音

  ↓

2つ目と同じです。

6つ目の「ミ(E)」の音

  ↓

3つ目と同じです。

7つ目の「ド(C)」の音

  ↓

1つ目と同じです。

8つ目の「ソ(G)」の音

  ↓

9つ目の「ド(C)1オクターブ上」の音

  ↓

10個目の「シ(B)」の音

  ↓

音符の下についている波線の記号はトリルです。装飾音の形の一つですがクラシック以外の譜面ではあまり見かけないかもしれませんね。

具体的にどのように弾くかは人によって異なりますが、ここではひとまずこういうことにしておきましょう。

装飾内の「ラ(A)」の音

11個目の「ド(C)1オクターブ上」の音

  ↓

9つ目と同じです。

いかがでしょうか。

これで1小節出来ました。

そして図らずも「ドレミファソラシド」1オクターブすべての音も網羅されました(やっぱりバッハってすごいですね)。

2小節目もこの調子で読んでみましょう。

楽器を持ちながら上の練習をこなされた方ならもう読めていると思います。

ゆっくりでよいのです。ゆっくりやりましょう。

他のポジション

考えられるポジションは他にもありますね。以下に挙げてみます。

使うフレットに●(開放弦は○)を付けてあります。

フレット番号は付けませんでしたが、上の練習を終えられた皆様でしたらお分かりになられると思います(すみません、これも訓練なんです・・・)。

是非この画像を元にご自分で楽器を持って確認してみてください。


(5弦スタートその2 開放弦あり)


(5弦スタートその3)


(6弦スタートその1)


(6弦スタートその2)


(6弦スタートその3)


結局、正解はどのポジションなの?

一番最初のポジションも含め、なんと6つもの選択肢がありました。

どれが正解なのでしょうか。

物理的に不可能になってしまうような選択を除いていけば、どれでもいいのです。どれも正解です。

どのポジションも音色や音の伸び方・音程感・技術的な難易度など、それぞれ異なりますのでそれらのメリット・デメリットを考えながら選んでいくことになります。

2つ、またはそれ以上の複数のポジションをまたいで移動することも珍しくありません。

その選択は演奏者自身に委ねられており、その選択の結果がプレイヤーの個性とも言えます。

最初のローポジションの例も本当は開放弦を使った方が練習も説明も楽なのですが

3拍目はトリルの都合で開放弦を使えず、このようなポジション選択になりました。

いかがでしたでしょうか。今回は以上です。

次回は「楽譜を読めるようになる方法 その3」を予定しています。

今回、過去に読譜に取り組んだことのある方には少し糸口が見える内容だったと思いますが、1からの方にはまだもう少し詳しくご説明させていただきたいと思います。

第六回「楽譜を読めるようになる方法 その3」

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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