弦譜堂の代表・松本祐一(@YuichiMatsumoto)です。
前回の記事では、採譜に大切なのは
- 真摯に楽曲に向き合う気持ち
- 再生が楽な環境づくり
この2つが大切であると書きました。
弦譜堂の採譜環境
今回は私の採譜環境をちょっとだけですがご紹介します。
- 繰り返しが楽にできる再生環境
- 疲れないヘッドホン
- 楽器のライン出力環境
私にとって能率の良い採譜のためにはこの3つが重要です。
ひとつずつご紹介します。
あっ、先にご注意ですがここでご紹介する環境や見解はあくまで松本個人のものです。
再現性についての保証はいたしかねますので、ご留意の上お読みください。
1.繰り返しが楽にできる再生環境
私は、音源の再生にはDAWを使用します。メインはProToolsとStudio Oneですね。たまに他の波形編集ソフトも使います。
別に録音や編集をするわけではないのになぜ?と思われることでしょう。
理由は2つありまして、一つ目はプロの現場標準のDAWということでその昔に選んで、操作に慣れていること。
そして二つ目が大事です。
「狙ったポイントからの再生が楽にできること」です。
正確な採譜のためには何回も同じところを繰り返し聞くことが必要、かつ大事なことです。
この繰り返しが楽にできることともう一つ、
「ここから聞きたい」と思ったところから正確にスタートできることも能率化のためには必要です。
これらが両立できる再生環境が必要になります。
曲をかけるならCDプレイヤーから直接流せばいいじゃないかと思われるでしょうか。
iTunesから?Media Playerから?
はたまたYouTubeの再生画面から?
しかし観賞用にはともかく、お仕事としての採譜にはこれらではいけないんです。
たとえば採譜中に「54小節の4拍目から再生したい」と思った時には正確にその地点から再生できる必要があります。
適当にルーラー(現在位置の矢印)をドラッグして、何となくこのへん、と思った所から再生しても
もう聴きたい部分は通り過ぎていたり、または前すぎて何小節か待たなければいけないことが多いです。
繰り返そうとするたびにこれでは非能率なんですね。
その点、DAWや波形編集ソフトなら繰り返し・狙ったポイントからの再生が楽にできるというわけです。
2.疲れないヘッドホン
採譜する楽曲の音源を鳴らす時は必ずヘッドホンでモニターします。
スピーカーから鳴らすとすべてのパートが空中で混ざってしまうので、例えばオーバーダビングされた複数のギターパートを抽出したりするのに不都合が生じるからです。
このヘッドホンの選び方にも採譜用としてふさわしい選定基準があります。
採譜向けのヘッドホンの選び方。
個人的な話になりますが、採譜用ヘッドホンの選定基準は何よりも音質・装着感の両面で「疲れないこと」であると思っています。
意外と「解像度」とか「再生可能な周波数帯域の広さ」ではないんですねー。
もちろん音質は大事ですし、信号のロスが出ないようにするための配線の工夫は当然のようにしていますが、まずは何より疲れないことです。
なぜそんなに疲れないことが大事かと言いますと、その方がより十分なエネルギーをもって解析に没入できるからです。
長時間の集中力の維持にも一役買ってくれます。
音質に過度な脚色がある機種も避けます。やたらと高音がビシビシしてたり、低音がボムボムとぼやけたり圧迫感があるものです。
そのような機種は観賞用としてならフィットする音楽もあるのですが、解析用には適しません。
密閉型か?半密閉型か?
これは絶対的に正しい答えはないと思います。
私は以前は海外製の半密閉型をメインに、必要に応じて国内製の密閉型を併用していました。
しかし現在は海外製の密閉型でほとんどの仕事をこなしています。
先に条件として挙げた「疲れない音質と装着感」をより高いレベルで両立しているからです。お値段も3倍くらいしましたけど‥‥
3.楽器のライン出力環境
これは採譜しようとする楽曲の音源と、確認用の楽器(エレキギター・エレキベース)の音が同じヘッドホンから出力される必要があるという意味です。
確認用に弾いているエレキギター・ベースを生音で聞いているのは非常によろしくありません。
必ずライン出力用のシステム(アンプ・スピーカーシミュレーター)を組んでヘッドホンから同時にモニタリングできるようにします。
何故そこまでする必要があるのかという疑問も出るかと思います。
しかし密閉型のヘッドホンで近年の高音圧のミックスが施された音源を再生しながらエレキの生音で弾いてもどのくらい聞こえるでしょうか?ほぼアタックしか聞こえないと思います。
それでも面倒だからと強引に続けると、聞こえなさから強くバチバチと弾くことになり、粗雑なタッチが癖になり、演奏家としての自分に悪影響が出ることが懸念されます。
ですから、エレキギター・ベースで採譜する時は必ずラインの音をモニターできるようにしましょう。
ちなみに採譜の時にはなるべく音色も似せていくようにしているのですが、こうすることで自分自身の音色づくりのノウハウが広がったというメリットもありましたね。
アコースティック楽器でも密閉型ヘッドホンで音源を鳴らしながら弾くとほぼ聞こえません。
ピックアップが付いていればちゃんとミキサーに繋ぎ、なければ傍にマイクを置いてヘッドホンに音が返るようにします。
今日のブログはここまでです。
「弦譜堂での採譜のやり方」シリーズはこれで一段落になりました。
次回の記事もお楽しみに。
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